私たちが「お盆」というとき、
8月15日前後の数日間を指すことが多いわけです。
しかし、もともとお盆は幅のある概念で、その長さは1ヶ月にもおよぶものでした。
15日前後は、いわば「クライマックス」にあたるといえるでしょう。
ここでは、「期間の長さ(幅)」と「クライマックス」という視点から、
お盆は「いつ」か?に迫ります。
お盆は1ヶ月もつづく?
◆お盆にまつわる行事を日程順に並べてみると、旧暦では7月1日前後(土地によってはそれ以前から)の準備開始から、7月末の締めの行事まで、1ヶ月近くにわたっていろいろな行事が行われていたことがわかります。
じっさい旧暦7月は「盆月」とも呼ばれていました。広い意味でのお盆は「お盆月間」ともいうべき長大な祭りシーズンなのです。これは、通常の年中行事と同列には扱えない大きな規模で、お盆が正月とならんで日本の「国民的行事」といわれるのも、もっともです。
お盆と盆踊り ◆盆踊りの中でも、長い期間踊ることで有名な郡上踊り(岐阜県郡上八幡町)。1ヶ月以上も踊るとはじめて聞いた時は耳を疑い、何かこの地域だけの独特の理由があるのかと思いました。しかし、本来お盆は1月もの長さを持っていたとすると、踊り日程が長期化する条件は日本のお盆の中にもともとあったのではないか、といまは考えています。
郡上踊り日程表(平成11年;郡上八幡観光協会)
7月10日から9月4日まで、1ヶ月以上
の踊り日程になっていることがわかる。
お盆の「クライマックス」
◆旧暦7月が「盆月」とすると、「15日」前後の数日間はお盆全体の中心、いわば「クライマックス」にあたるといえそうです。
お盆の「中心」の位置は、たいてい15日を中心に13日~16日あたりという地域が多く、この傾向は7月盆、8月盆、旧盆のいずれの場合でも変わりません。
そして、次の「お盆の行事」で見るように、13日~16日は「迎え盆」から「送り盆」という、お盆の中核的な行事が行われる日程になっています。
◆なぜ「15日」が中心になるのでしょうか?
仏教行事の「盂蘭盆会」は非常に古くから7月15日に行われており、この日程が民俗行事としてのお盆にも影響しているのは間違いないでしょう。
しかしながら、民族的側面から見ても先にみた「満月とのリンク」のように、もともと「15日」にはお盆の中心になるさまざまな理由があって、仏教がこれに形(説明)を与えた、と考えることもできそうです。