おとずれるたびに、その遠さを実感する三遠南信*。
車のない私たちの唯一のアクセス手段が、JR飯田線です。天竜川の大峡谷を車窓から眺めるのも、もう何度目でしょうか。平岡駅で列車を降り、天龍村役場に今回お世話になるFさんを訪ねました。
「大河内の盆踊りは、だいたい新野と同じかな。昔は”送り”が終わったあとで、若いモンは山を越えて踊りに行ったというよ。」
広大な天龍村の西部、そのもっとも奥まったところにある大河内の集落。ひと山越せば、そこはもう盆踊りのメッカ・新野です。周辺一帯の盆踊りは、いずれもその影響を大きく受けています。しかしながら、大河内をはじめとするいくつかの集落では、今も新盆の家やお堂の前で踊る「掛踊り」の伝統が守られていて、新野よりも一つむかしの盆の踊りの姿をそこに見ることができるのです。
翌16日は、送り盆。
夕映えの山々に囲まれた大河内は、まるで箱庭のようでした。田畑のあいだをめぐる清流。路傍には、石仏に季節の草花。Fさんご一家が、山の幸で歓迎して下さいます。深山の気を受けた香ばしい瓜は、まさに絶品!。
9:00過ぎ。集会所の広場で、盆踊りが始まりました。
踊りの輪は小さいながらも、マイクを使わない”生唄“の音頭は何ものにもかえがたい魅力があります。いつしか夜も更け、気がつけばまもなく深夜零時。お精霊さんを送る時間です。辻のお堂の庭に切子灯籠が並び、念仏衆の和讃が始まりました。今年の盆踊りもいよいよ最後です。おじいさん・おばあさんに混じって、元気に踊る子どもたち。最後まで踊りきって、満足な笑顔がこぼれます。きっと思い出深いお盆になったことでしょう。
盆踊りの後は掛け踊り。そして送りの行列となりす。庚申様の前で切子灯籠を燃やして、大河内のお盆は終わります。最後の炎を見送ると、あたりは高原の涼気と静寂につつまれました。
おとずれるれるたびに、新たな出会いと感動を与えてくれる三遠南信。
その奥深さに魅入られたものは、今年もまたはるかな山路を越えてあの谷へと足を運ぶのです。
*三遠南信… 「三河(愛知)」「遠江(静岡)」「信州南部(長野)」にまたがる地域。盆踊りや花祭りなどの民俗芸能の宝庫
開催情報 | |
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日程 | 8月14、16日 |
場所 | 長野県天龍村大河内 |
アクセス (公共交通) |
JR飯田線で平岡駅下車 天竜村営バスで大河内まで 40分 |
アクセス (自動車) |
中央自動車道飯田ICより、国道256号、151号と進み、新野で418号に入り、川島付近で大河内中川原線に入り大河内まで |
フォト
大河内掛け踊り<